2015年6月3日水曜日

帰国の報告・ブログを書き続けた理由

2ヶ月のHMS臨床実習を終え、2015年度組は無事帰国しました。



2015年度 HMS派遣組


アメリカでの時間の過ぎ方はあっという間でしたが、帰国するとマッチングや国試対策においてかなりビハインドな気がしてジレンマに陥っています。なので、本当は神経内科を回り終えた感想とかも綴りたかったけれども、それは報告書に書くとしてここでは割愛です。




2ヶ月間、自分は努めてこまめにブログを更新したつもりです。ブログを書いているのが自分ばかりで申し訳なさすらあります。
SOAPカルテ風に話すと、この"O"を見て、どんな"A"が導かれるでしょうか。


”この人相当暇だったんだな”
”やたら自己顕示欲が強かったみたい”



あらあら、そうなる前にちょっと"S"も聞いてくださいよ!



僕にとってブログを更新した理由はいくつかあります。2ヶ月の期間で5000アクセスを誇るそれなりのブログにしてくれた読者を裏切るまいという気持ち、親に心配をかけないため笑



けど最も大きかった理由は、自分が先輩たちのブログのおかげで最高の2ヶ月を過ごすことができたからです。私が1年生だった時からHMSブログは毎年学年メーリスやらで宣伝が回ってきました。その時は、”ハーバードのブログかぁ。眩しいな。”なんて思ってあまり読みませんでした。
しかし、5年になっていざ自分が行きたいと思うようになると、学内選考のために情報収集する必要があり、その時から過去のブログを遡るようになりました。そこから得ることができた情報量は膨大で、モチベーションを高めることにも大いに役立ちました。(何年まで遡れるのか是非検証してみてください!)


学内選考が終わり、希望の診療科リストを出さないといけなくなると、ここでもまたブログを復習することになります。過去の報告書もありましたが、どことなくブログの方が読みやすくて、素直な感想が書いてあるような気がしました。マニアックなelective coursesが並ぶ中、ブログに綴られた体験は実に貴重な情報源でした。
(どの診療科を希望するかは慎重に吟味するべきだと思います。自分は過去のブログ、自分の体験、他の留学生から聞いた体験から少しはお役に立てると思うので、いつでも相談しに来てください。)


そして、いざ旅たつと、そこでもブログは僕の心強い味方でした。最初の一週間、右も左もわからなかったり、バイパスポンプ中で暇だった時、過去の先輩たちはどのような毎日を過ごしていたんだろうと気になり、改めてブログを読みあさっていました。その後も困難を迎えるたびにブログを遡って指針をもらったり勇気付けられたりしました。こまめに更新されて苦難との向き合い方が見えるブログほどありがたいと感じました。
真面目な用途ばかりではなく、単純に楽しい出来事もありました。例えば、自分はボストンで地ビールの"Samuel Adams Lager"が大好きになったのですが、過去にはこのビールが好きすぎてビールの製造工場にまで赴かれた先輩がいました!!お会いしたい!!笑

今やTOEFLの点数とお金さえあれば、誰でもHMS Exclerkshipに申し込めるようになりました。そのような中で、医科歯科大学のメリットはこのブログに代表されるように経験談・ノウハウが豊富なことに尽きると思います。




このように僕はブログにとてもお世話になったのですが、過去の先輩たちにその感謝をどうすれば良いのでしょうか。

ボストンで出会った日本人医師の方が
”今自分がこうしてアメリカに来れていることは、偉大な先輩方の功績と信頼関係のおかげだ。しかし、自分はそんな先輩たちに何もできない。だから、その感謝の気持ちを自分は後輩に還元しなくてはならない。”
とおっしゃっていました。

この言葉をいただいた素晴らしい先生のされていることは、自分が書いているこんなちっぽけブログなんぞとは比べ物にならないのですが、それでも今の自分にはこれしかありません。また自分は帰国子女で、英語力に恵まれていた分浮いた時間も還元しなくてはという気持ちがありました。だから多少忙しくても、馬鹿な自分を晒すことになってもブログを書きました。
これでも、本当はもっともっと書きたいことがあったのですが、、、一番書き損ねたと思っているのは日本人の先生方との交流です。二回もBBQに誘っていただく機会がありとても楽しい思い出となりました。




以上が自分の"S"です。ちょっとでも"A"は変わったでしょうか。来年以降HMSに行く人の"P"が、”自分もブログを書く”になってくれたら嬉しいです笑。

トム




2015年5月28日木曜日

TOEFL ibt 100点必勝法!!

こんにちは。れいかです。
早いものでBostonでの実習もあと数日となってしまいました。
帰りたくない....笑 いまはMount Auburn HospitalのWalk in Centerで実習させていただいています。
この実習についてはまた今度書くことにして、今日はTOEFLについて。

海外での臨床実習を考えている人にとって、TOEFL ibtはこえなくてはいけないハードルでしょう。
少なくともわたしはそうでした。

HMSのホームページに、
Medical English proficiency  All international students, regardless of language of instruction, must call HMS for a telephone interview. In addition, all international students whose language of instruction in not English must provide a TOEFL score. Students whose English language skills are not proficient during the interview may be required to submit a TOEFL score. HMS requires a minimum TOEFL score of 100.とあるように、電話面接をパス(近年はかなりやさしいです)して、最低でもTOEFL100をこえなくてはまず応募できません...
詳しくはここをみてください。http://ecommons.med.harvard.edu/org.asp?exclerk

TOEFL ibtはリーディング30点、リスニング30点、スピーキング30点、ライティング30点の試験で、帰国子女ではない人にとって100を超えるのはかなり厳しいです。
内容も学問的な内容でちんぷんかんぷんなこともあるし、休み時間はリスニング、スピーキングの間の10分だけ、お昼ごはんを食べる間もないかなり過酷な試験です(;_;)

わたしのいままでの英語の勉強はこんな感じでした。
小学生 英会話を習っていて、文法もなにもわからないけど、スピーチコンテストにでたりしました。
中学生〜高校生 学校の英語の授業、大学受験の勉強
大学1年〜3年 大学の授業だけでほとんど自主的に勉強はしていませんでした。
大学4年 プロセメで4か月半トロントに留学

英語は得意科目で、大学受験のときの安定した得点源でしたが、長期で海外にいたのは4年のプロセメの期間だけで、英語のクラスも良いわけでもなかったです。

TOEFL ibtの点数ははじめと終わりでこんな感じ
2015/3/23 R23、L24、S20、W21、合計88
2015/12/6 R29、L27、S24、W24 合計104
90点は比較的すぐこえましたが、その後がほんとにきつかった....
わたしはどのセクションが特に低く、どのセクションがすごく得意というわけではなく、どのセクションも同じくらいで、あえて言うならスピーキングが少し低いくらいだったので、伸ばしどころが難しかったです。
104点をとれるまで何回か土日の時間貴重な時間とお金(このテスト1回で230$します....)を費やしましたが、できれば最小限の回数で100点を突破したいよね!!!

わたしなりにいきついた確実に100点をとれる方法は次の通りです。

みんなそれぞれ適した勉強法があると思うので、参考程度に読んでください。

リーディング、リスニングでとにかく安定して9割はとれるようになる。
(スピーキング、ライティングで25点以上をとるのはなかなか難しいです。)
スピーキング、ライティングも大きく落とさない程度に。

なので、なるべく本番に近い形式でリーディング、リスニングを毎日1セットずつ解くのがいいです。
わかならい単語があっても、テーマがなじみのないものでも不思議とコツがつかめて安定して高得点がとれるようになります。
単語全部覚えるのはきついので、この本付属の分野別の単語だけでもみておくと違うかも



スピーキングは誰しも苦手とするところかもしれませんが、各設問ごとに自分なりの型を決めておいて
(例えば、I agree with A. The followings are two reasons. First, ~. For example,~. Second, ~ Actually I~. In conclusion, ~など)
なるべく言葉につまってもたくさんしゃべりましょう。前日特にスピーキングの練習をして口が動くようにしておくのは重要です。

ライティングもなかなか高得点は難しいです。
まず、なるべくたくさんの字数を書くこと。For exampleなどを用いて自分の意見をサポートする具体例も書くといいです。
論理的におかしな文章になっていないこと。
ケアレスミスをしない。
同じ単語の繰り返しはさける。スペルが分かるならなるべく難しい単語を選ぶ。(例えば、「素晴らしい」だけでも、wonderful, amazing, marvelous, great, excellent, stunningなどたくさんあります)
仮定法、強調構文などの構文やイディオムをなるべくもりこんでわかってるアピールをする。
これができればそこそこはとれるはずです。
ライティングでも自分なりの型をきめておくことは重要です。

スピーキングでもライティングでも内容が思いつかないことはよくあるので、その場合は頑張って作り話をしましょう。笑

あ、あと試験会場ごとに環境にだいぶ差があるので、良い環境の会場を選ぶのも重要!!(お茶のソラシティはいいよ

TOEFL100点がなかなかとれなくて苦しんでいた私をサポートしてくださった先生方、FOCUSの仲間、友達、経済的に援助してくれた両親には本当に感謝です...(> <)

TOEFLを頑張っている後輩の皆さんの参考に少しでもなれば嬉しいです!

もう帰国間近なのにプレゼンはあるは荷物の準備はゼロでつみつみです...
残り少し走りぬきます!


怜花


2015年5月26日火曜日

5 Places You Must See in Boston

ボストンでの暮らしもいよいよ最後の週に入りました。
現在Memorial Day Weekendという3連休を満喫しております。


もうブログを書く機会もなくなるので、今日は趣向を変えてボストンの観光地について書こうと思います。ということで、トムの独断で勝手に5つの観光スポットをランキングしちゃいます。



まず5位

ハーバード大学 本キャン






言われなくても見るでしょうから第5位です!
写真はあえて、地球の歩き方だけじゃ見つけられないような景色の写真です。
白いのは図書館(ハーバードの学生の協力がなければ入れないかも)
木造のはマイケルサンデルが正義について講義しているSander's Hallです!!(この日中入れず)


あと、Social Networkを見た人は覚えてるかもしれません。Winklevoss兄弟が住んでいたPorcellian Clubの入り口です。ハーバード大の中で最も影響力があり排他的な"Gentleman Only"の組織らしいです。看板すらないところがお高くとまっていますね。
駅の近くなので見つけてみてください。



*観光客の間ではJohn Harvardの銅像の足に触って写真を撮るというのが常識ですが、ハーバードでは在学中に彼に尿をかけなければいけないという悪しき風習があるそうなので、触ったあとは手を消毒しましょう!







第4位

Freedom Trail




アメリカがイギリスから独立した時の歴史に深く関わる場所を散歩するコースのことを言います。400年くらいしかないアメリカ史の根幹をなす部分なので、歴史に疎い人も回っておきましょう。

Bostonで発行されるNew England Journal of Medicineがなぜ"New England"なのかを気付くこともできるでしょう。。。





第3位

Bostonのシーフード






アド街ック天国のようなまとめ方しちゃいましたね!ふふ

海に近いボストンの魚介は絶品です。
ロブスターに至っては、僕は現地の人にお隣Maine州のOgunquitという有名な避暑地まで連れてっていただき、目の前の海で揚がったものを食べさせていただきました。




第2位

Redsox vs. Yankees



伝統の一戦です!野球ファンじゃなくても一度は見に行かなくては!!!
僕たちの代は情報弱者だったので、一ヶ月前にようやくチケットを探し始め、とっても値が釣り上ったところで買う羽目になりました T_T
しかも最初の3回でヤンキースに8点入るわ、ヤンキースのマー君は故障者リストでレッドソックスの上原にも会えませんでしたが、それでもとてもいい思い出になりましたよ。





第1位

Charles River





5月のボストンの気候は最高です。現地の人が口を揃えて言います。
そんな季節の晴れた日は、ボストンのど真ん中を走るこの雄大な川で、思い切り遊びましょう!!同級生はサイクリングに集まる日がありましたが、あいにく僕は行けなかったので、病院の近くの施設でカヤックを借りて川を漕いできました。
流れが緩やかな小川ゾーンと、波が豪快なCharles Riverを楽しめます。1日中船を貸切で、ダブルカヤックが一人20ドルでした。


当たり前のように市の真ん中を流れている川なので、ついつい軽視してしまいがちですが、カヤックは目茶苦茶楽しかったので一位にしちゃいます。





勉強が忙しくて週末も遊ぶ時間を設けにくい科もあると思いますが、2ヶ月あるのでこの5つは要チェケラッチョです。


そろそろみんなも最後のブログを更新してくれるそうなので、こまめに確認してくださいね。

トム

2015年5月17日日曜日

5月 MGH Neurology 更新あり

お久しぶりです、トムです。

5月は、再びMGHで今度はNeurologyを回っています。




突然ですが変な写真をUpさせていただきます、失礼します。




餞別の品


こちらに来る前に友人にもらったものです。範馬バキという最強のヒーローからの教え、そして、こちらで優秀な学生たちの中で埋もれないための誰よりも派手なパンツです。





僕は今これらにすがっています。


いったいどういうことか。


現在のNeurologyには、5人のハーバードの学生と僕、計6人の学生がいます。


MGHのNeurologyはStroke, General, Neuro-Oncology, Pediatric Neurology, Consultの5班に分かれてます。各班とも学生、ジュニアレジデント4人、シニアレジデント1人、フェロー1人、アテンディング1人といった構成だと思います。




僕は最初の2週間をGeneralで、ハーバードの学生−というかMITとのたすきがけ臨床-研究プログラムで来ている人−と回りました。その名もフセイン。




この人、超できます。



MITで神経系の研究をしつつ医師免許を取りに来ていて、Neurologistになるつもり満々の学生です。歳は大差ありません。MITってだけでやばい気はしていましたが、よりによって専門かい。神経解剖の英単語すらまだ定着しきっていない僕にとってこれは非常に不都合なことでした。


何かを質問されると、全部答えられてしまうからです。



おまけにカルテのシステムを把握しきれていない僕とは対照的に、圧倒的なキャパでどんどん新患を担当していきます。




回診で輝くフセイン。会話をキチンと理解できているかすら怪しい、誰にも気付かれない自分。





僕はどうすれば良いのか。。。FOCUSでも、それ以外でも、この日のために勉強してきたはずだったのに。自分はどれだけ不勉強だったのだろうか。悔しくて情けなくて夜眠れないです。。。


まぁここまで思いつめていたのは最初の一週間で、今は慣れてきましたが、にしてもハーバードの学生はすごいです。中でも印象的だったことを3つシェアします。



1、めまぐるしく患者さんが入れ替わる中で常時4人担当するように頑張っている。
2、僕の担当患者さんについてまで論文を読んできて回診中に発表する。
3、日曜日に当直して、面白い患者さんを全部自分の持ち患にしている。




後半2つはもはや反則です!!
このような同期たちに追い込まれていたため、なかなかブログを更新する気力も湧いてきませんでした。
特に今週は、試験やらもあって忙しめです。うまくいったらどんな試験だったか報告ます。うまくいったら



ツカミは大袈裟なのに、ハイテンションを維持できず竜頭蛇尾な記事になってしまいました。
とにかく今週を乗り切ります。
ではまた!


2015年5月5日火曜日

Pediatric Nephrologyの総括

5月から新しいローテーションになりました。私はDiagnostic Radiology @ BIDMCで実習します。


Pediatric Nephrology @ MGH まとめ

実習内容については既に書いているので、そちらを参考にしてください。

実は私、もともと酸塩基平衡とか電解質異常とか体液バランスに関して苦手意識をもっていたので、あえて苦手なものに挑戦して克服しちゃおうという魂胆もあって腎臓内科を希望してみたところがありました。
でも、いざ腎臓内科の実習が始まってみると、病態の把握はもちろん治療のプランを言ってみて、などと初日から求められるレベルの高さに愕然として、「果たして1か月乗り切れるのかな・・・」と半ば弱気になりました。でも、Attendingの先生たちがかなり教育的で、わからないことに関しては懇切丁寧に教えていただいて、1か月で本当に色々なことを学ぶことが出来たと思います。


実習の良かった点
・教育的
どのAttendingも教育的で、質問には時間を割いて答えてくださり、時にはlectureにまで発展したり、質問に関する論文を教えていただいたりしました。また、発表の機会(roundでのプレゼン、外来でのフルプレゼンなど)もありました。


Attending以上の指導医と過ごす時間が多い
Attending以上の指導医しかいなかったので、基本的にAttendingと行動を共にしていました。また、他に学生やresidentなどもほとんどいなかったため、専門知識の豊富なAttendingから直接様々なことを学ぶことのできる恵まれた時間を過ごせました(と今になって思います)。

・派遣前トレーニング(FOCUS)をいかせる
派遣前の海外留学に向けた特別授業では問診、鑑別、プレゼンを重点的に練習していましたが、今回のローテーションでは病棟・外来共にFOCUSで学んだことを試す機会が多かったように思います。

・多数の症例
外来では毎日平均6人ほど(多くはfollow-up)来て、疾患は多岐に渡っていたため、腎臓内科におけるメジャーな疾患を広くカバーできました。

・メンター
とあるAttendingの方には非常にお世話になりました。というのも、毎週必ず実習内容について話し合い、よりよい実習にしようとしてくださったためです。また、わからないことや困ったことについても相談でき、温かく励ましていただきました。

・腎内以外の科も実習できることがある
あまりイベントがなく暇な時には小児救急などを見る機会も運よく与えてくださり、興味深かったです。

実習で大変だった点
どの科でも同じことが言えると思いますが↓

・電子カルテとバイタルサインなどを記録する用紙(医科歯科での温度板に相当する)
どんな情報がどこに書いてあるのかといった形式に慣れるのがまずは一苦労でした。

・略語
カルテなどは基本的に略語で書かれてあることが多く、類推できないものも割とあったため、いちいち調べたり聞いたりする必要があり、時間を要しました。

・薬の名前
これには最後まで手こずりました。特に、外来で患者にどんな薬を服用しているか聞いても聞き取るのが難しかったり作用がわからなかったりで、途中で断念せざるを得ないことがありました。

・平易な言葉で患者に説明する
問診など患者と話をするうえで、専門用語だとはあまり思わずに医学用語を用いて理解されないことがあったので、その場合に医学用語を平易な言葉で置き換えることが意外と難しかったりして、患者から正しい情報を引き出しにくいこともありました。

実習の改善を希望する点
個人的には、特にありませんでした。
強いてあげるとすれば以下の点があるでしょうか。

・マニアックな疾患を既往歴に持つ子が多い
小児科という科の性質上、先天的な疾患を抱える子も少なくないため、外来で実習しているとあまり聞いたことのない疾患に遭遇することがよくありました。

ハーバードの学生のレベルを伺い知る機会が少ない
私と同じ時期に腎臓内科をまわっていた他の学生はいなかったため、ハーバードの学生のレベルを伺い知る機会は少なかったです。(Noon conferenceなどで一緒に行動するので、その時にハーバードの実習の様子や知識の深さなどをある程度知ることは可能)

臨床留学に関する情報を得られにくい
Residentは基本的には学生の私とは違う行動をしていたので会う頻度は少なく、将来アメリカでのResidencyを真剣に考えている人にとっては、Residency programについて聞く機会があまり持てずキャリアプランを立てにくいかもしれません。
メンターにもなっていただいたDr. Sharmaと


放射線科は患者さんとの関わりが薄くて個人的にはさみしく思う部分もありますが、問診や身体所見のみではわからない病変部位を可視化して、診断に大きく貢献するという強みがあるので、次の1か月も引き続き気を緩めずに沢山読影したいと思います。ちなみに、今回はハーバードの学生も留学生も結構いるので、交流できて嬉しいです。

いが

2015年5月1日金曜日

Cardiac Anesthesia Rotation: A summary ②



②に続くなんてもったいぶってすみません、トムです。




①は、Tkd先生から「ブログを宣伝しても良いですか?」なんて頼まれたもので、少々真面目に書いてみました。




②では、僕が最初の一ヶ月、特に後半に個人的に意識するようになったことについて書きます。



実習の前半は、"Adapt"するのに精一杯でした。(自分のキャパ不足)

しかし、慣れてくると今度は自分を"Evaluate"してほしい、というか少なくともよく知ってもらいたいという気持ちが強くなりました。
普通にしていても充実していたのですが、4週間という期間があまりに短く、このままではお客さんのまま終わってしまうという危機感にかられるようになったからです。


しかし、Attendingは毎日コロコロ入れ替わってなかなか爪痕を残せない自分がいました。
外勤や研究にいってたり、病院にいても心臓外科麻酔以外のことをしていたり。
日本では毎日同じAttendingと顔を合わせていたので、なかなか慣れない感覚でした。


そこで、3週目にとうとう僕は思い切ってゴマをするAttendingを絞ることを決めました。
もちろんHeidiやFitzsimons先生には媚を売りますが、彼らがORにいる時はもう一人の留学生と仲良くShareするのでどうしてもExposureが減ってしまう。なので加えてこの人!






Dr. Koskiという先生。理由は、一番胸板が厚い先生だったからです!!
胸板が厚い先生って影響力ありそうじゃん?


ゴマをするといっても当たり前のことしか自分にはできませんでした。
ちゃんと患者さんの予習をする、早めにオペ室に行って準備を手伝う、めっちゃ挨拶する、質問する、最後までいる、同じORじゃなくてもすれ違ったら少しお話しする。。。くらい。

しかし、この当たり前さえ色々な誘惑や障壁があり僕には難しいものでした。
Koski先生がAttendingの日に違うORではすごく面白い手術があったり。CVなどの侵襲的な手技を最も経験させてくれるFitzsimons先生の勤務日とバッティングしてどっちのORに行くか迷ったり。ResidentがいないORに行くことが推奨されていたがKoski先生の部屋にはResidentがいたり。他にもバッチリ予習して行ったのにAttendingの日程が土壇場で変わっていてKoski先生がいなかったり。。。



また、麻酔科では学生が最も輝ける場面は手技だったので、Koski先生の前でIVや挿管は失敗されないというプレッシャーがありました。
とはいっても失敗してしまうこともあるのですが、その時は非常に詳細なフィードバックを頂き、全てをメモって復習して、二度と同じ失敗は繰り返しませんでした。





努力のかいあって、週2回もないチャンスを僕はなんとかものにし、段々Koski先生に信頼してもらえるようになりました。そうすると、自分に任される責任も増えてくるので楽しいです。




お別れの写真です。はい、近寄り難い先生みたいなToneで話してましたが、めっちゃ優しいサンタさんみたいな先生でした!ごめんなさい!


案の定、麻酔科の世界ではビッグネームだそうです。
最後に、もしアメリカに自分が来ようと思ったら、その時に推薦状を書いてくれませんか?と聞いたところ快諾してくださいました。特にMGHのICU Fellowship(全米屈指のICUプログラム)に興味があったら任せろっと言ってくださいました。 
(Fellowshipかぁ遠いなぁ笑)
このネットワークを生かせるかはまだわかりませんが、それでも自分の後半2週間がとても有意義だったと実感できた瞬間でした。



来年以降HMSに行く人は、もしこの留学で海外にネットワークを作りたいならある程度アピールする人を絞ってそこに全力投球するのが良いかと思います。今思うと、最初から先生たちについてもっとリサーチしておけばよかったなとも思います。
もちろん僕と違ってずっと同じAttendingと過ごすローテもあると思いますが、そうでないローテに当たった後輩に参考になればと思います。




おまけ

怜ちゃんも書いてくれてましたが、現在4月と5月の間の1週間休暇中です。
ラボの見学に行くもよし、USMLE Step II CSを取るもよし。
んー僕はNYで遊びました。








左はNYのパンケーキ。テーブルに置かれていたコーヒーやオレンジジュースをありがたく飲んでいたら、バッチリお金取られてしまいました。朝食に$53!?!?!皆んな気をつけてねT_T

右手はTkd先生がResidencyをされたらしい病院。

以上。

トム

2015年4月30日木曜日

80:20


 
 

水曜日の午前中はボストン小児病院で、小児膠原病内科の先生の外来を見学させていただきました。

 

小児膠原病内科医は全米でも数が少なく、ボストンより北の地域には一人もいないらしく、遠いところからはるばるやってくる患者さんもいらっしゃるそうです。

 

物理的に遠いことも一つの理由か、受診予約をしていても、キャンセルしたり時間になっても現れない患者さんも結構いらっしゃるとのこと。

 

この日も1人キャンセルでした。次の患者さんを待っている間に、先生が今まで歩んできた経歴に関して興味深いお話をして下さいました。

 

先生は免疫に関する研究を長年されていて、医者の専門を決める際も、「この研究をしたいから」この科を選ばれたそうです。

 

先生は、Residencyが終わった後のFellowship(専門医研修)でも研究をされ、その後のポスドクでも研究をされたとのこと。アメリカではFellowshipで研究をしっかりやるプログラムが結構あるそうで、その理由は、専門医としてその領域の学問を更に発展させることが重要であると認識されているからです。

 

今の先生の仕事は、研究が80%、臨床が20%という割合になっていて、それでも競争が激しい研究の世界で結果を残すには大変とのこと。そういえば、実習で回った他のクリニックでも、80-20の割合で研究されている先生がいらっしゃいました。

 

アメリカで研究する場合は、"Grant"(助成金)を自分で確保しなければならず、そこから研究室を運営する費用、自分の給料、雇った人たちの給料などすべてを払わなければなりません。自分のホームステイ先に一人研究者の方がいらっしゃいますが、その人曰く、ある程度実績を残した人でも、Grantが得られなければ研究することはできないとのこと・・。単に頭のキレだけでなく、絶え間ない競争に耐えうるだけの精神的なタフさが必要であると感じました。

 

アメリカに来て、日本ではあまり聞かない医師の進路について学べたことはとても貴重でした。特に、自分の専門の領域の学問を研究によって発展させていく、よりよくしていくという姿勢は自分も身につけたいと思います。

 

4月の実習(Advanced Study in Neurology@BIDMC)についてと近況報告

はじめまして。れいかです。
早いもので先週の金曜日で4月の実習が終わってしまいました。


4月は、Beth Israel Deaconess Medical Center(BIDMC)Advanced Study in Neurologyの実習をさせていただきました。Bethの神経内科は、Stroke, General,Consultの3チームに分かれています。
わたしは初めの2週間はGeneral、後半2週間はConsultチームで実習させていただきました。

実習していたBIDMC West Campus
 

実習中多くの時間をすごしたTHE FARR MEMORIAL BUILDING (病棟があります。)










 







 

●まずGeneralチームでの実習について。

GeneralチームではStroke以外のすべての神経疾患を扱います。多種多様な疾患について勉強することができ本当にためになりました。

1週間のスケジュールは以下の通りです。

毎日この通りのスケジュールとは限らず、多少時間が前後します。

Morning Round
学生、ジュニアレジデント、シニアレジデントで病棟回診をします。問診、診察を行い、所見を紙に記録します。
Dr Ronthal Patient Presentation
    実際に患者さんを1人お招きし、神経内科全体で行うカンファレンスです。レジデントが患者さんの経過をプレゼンし、おそらくFellow以上の先生が患者さんに実際に問診、身体診察を行いアセスメント、プランについてディスカッションを行います。
  患者さんの症状にあわせてどのように問診、診察をすすめていけばよいのかが分かりとても勉強になりました。ディスカッションを行っているときはどうしても医師中心になりがちで、患者さんの居心地が悪くならないように常に患者さんを中心にすえた進行をすすめることの難しさも話題にあがりました。
・Neuropathology Conference
 病理の標本についての解説の時もあれば、実際にご検体の脳をスライスしながら解説のときもありました。実際の脳を肉眼でみながら症例について考えることができたのは貴重な経験でした。
・Neurology Grand Round
 神経内科に関わる基礎、臨床研究についてのカンファレンスです。普段はお目にかからないようなかなり上の先生方もいらっしゃっていました。
・Neuroradiology Conference
 神経内科全体で行うカンファレンスです。Stroke, Genaral, Consultの3チーム全体で読影の難しかった症例についてディスカッションします。
・Attending Rounds
学生、レジデント、アテンディングで行うチーム内のカンファレンス。学生またはレジデントが症例について簡単にプレゼンし(チーム内の患者さんはみんな把握しているため、Full presentationは必要とされませんでした。)、アセスメント、プランについてディスカッションします。
・Resident Conference
 様々なテーマについてのレクチャーが行われます。レジデントが積極的に発言しディスカッションしていました。
・Epilepsy Conference
てんかんのコントロールが難しい患者さんについて、長時間モニタリングした脳波や患者さんの映像、他の画像検査の結果をもとにてんかんを専門とするフェロー、アテンディングのもとを訪ねてディスカッションします。
・Chairman’s Conference
 学生、レジデント向けに診療科長の先生がレクチャーをしてくださいます。学生が経験した症例についてプレゼンし、その症例をもとに伝導路など基礎的なことから臨床的な側面までレクチャーしてくださりました。基礎的なことを英語でディスカッションするのはかなり難しかったです。
・On Call
 4日に1度、土日も関係なく20時ごろまでレジデントと当直します。体力的に少しきつかったです。ハーバードでは学生が当直する科も多いらしく、22時ごろまで残る時もあるそうです。Callが1つもなかった日も多かったですが、初見で患者さんをみさせていただける機会なので、勉強になりました。

1週間に2人患者さんを受け持ち、Morning Round, Attending Roundでプレゼンをしたり、毎回ではないですがノートを書かせていただきました。チーム内の患者さんが多くレジデントが忙しいときは学生がどの患者さんを担当しているのか忘れていることも多く、事前にプレゼンさせていただけるようお願いする必要があるときもあり、積極的な姿勢を心がけました。チーム内の患者さんに関してはおおまかにでも全員を把握できるようにつとめました。

●次にConsultチームでの実習について。

Consultチームでは神経疾患以外にも様々なバックグラウンドを持った患者さんを多くみました。
重症でICUに入院されているような方も多く、印象に残った症例も多かったです。

1週間のスケジュールは以下の通りです。

Genaralチームと同様に、毎日この通りのスケジュールとは限らず、多少時間が前後します。
カンファレンスの内容などは、Generalチームで述べたものと同じです。
なかなかタイミングが難しく、自分で新しくコンサルされてきた患者さんを問診、診察しAttending Roundでプレゼンする機会をもてなかったのは少し心残りでしたが、昏睡状態の患者さんの身体診察や管理の仕方、神経疾患に限らず様々な疾患について勉強でき、有意義な実習でした。

実習最終日にレジデントTiffanyと
Tiffanyはヨーロッパ出身で、アメリカで臨床をする上では勝手が違うことも多く大変な時もあるそうです。
TiffanyにはComa Examをたくさん教えていただきました。
























 

 

●この他にも、clerkship directorの先生から直々に身体診察の仕方についてレクチャーいただけたり、学生向けのレクチャーが週に1度あったり、AttendingのClinic(外来)の見学をさせていただいたり、Attendingの専門分野についてRoundの後にレクチャーいただけたりと、盛りだくさんの実習でした。


神経内科の実習を回っている学生はわたしを含めて6人で、ハーバードの学生が4人、中国からの留学生が1人でした。
実習最終日にChrisと



わたしは、1ヶ月間同じチームで、ハーバードの学生Chrisと一緒に実習していました。
Chrisはもともと米軍で働いた後、手に職を持ちたくて医師を志したinterestingなキャリアの持ち主で、実習中は建物やシステムについてだけでなく、英語面、知識面でもかなり助けてもらいました。

チーム内の患者さんに関しては使用している薬に関してなど細部まで把握できているだけでなく、自分の担当患者に関してはレジデントと同等のプレゼンをしていて、レベルの高さを感じました。




 




実習最終日にYaoと
中国から留学にきているYaoにも本当に助けられました。

実習初日に自己紹介した後、This is my first day in clerkship here, so I'm so nervous.と言いあってほっとしたのを覚えています。

Yaoとはチームは違ったものの、自分たちの担当患者さんの診察を一緒に協力してしあったり、寮(Vanderbilt Hall)でお話したりご飯を食べたりしていました。

Yaoは将来アメリカでResidencyをすることを本気で考えていて、とても勉強熱心でした。
わたしも見習わなきゃ...








 

●後輩にすすめるか

◎ハーバードの学生が実習していることも多く(多分)、レベルの高い学生たちと切磋琢磨できる。
◎カンファレンスなど学ぶ機会が本当にたくさんある。
◎身体診察に関してはディレクターの先生から直々に教わることができるし、Roundで数多く先生方の診察方を学べるので身につく。
◎神経疾患だけでなく、さまざまな背景をもった患者さんをたくさんみれる。

×4日に1度のon callがあることもあり、体力的に少しきついかも。
×先生方が忙しいことも多いので、どれくらいinvolveできるかは自分の積極性、努力にかかっている。
×特殊な疾患を持った患者さんも多く、専門用語や略語が多いので、英語が少し大変かも。

こんな感じですね...努力は必要だけど、頑張りがいのある実習なのではないかと思います!
後輩のみなさんが科の希望リストを考えるとき、少しでも参考になれば幸いです。
 

●近況報告

今は1週間の休暇を利用して、ニューヨーク、モントリオール、トロントを旅行しています。
わたしはプロセメでトロント大学のLaboratory of Medicine and Pathobiologyで研究をさせていただいたので、その時お世話になったMike教授、指導教官のBettyはじめ研究室のみんなに会えるのがとても楽しみです!!(> <)♥
Brooklyn Bridge(左)&Manhattan Bridge(右)
NYにて。この景色だけでも感動でしたが、歴史背景をしるとさらに感慨深かったです。
 

ブロードウェイでミュージカル MAMMA MIA!をみました!  So awesome!!!
 
5月はMount Auburn HospitalでUrgent Care Ambulatory Medicineの実習をさせていただきます。
FOCUSで学んだ問診、診察、プレゼンの勉強が生かせそうな気がするので、また頑張りたいと思います。

ではでは長くなりましたがSee you later!!


怜花

2015年4月29日水曜日


“Innate Immunity”

 

私が回っていた臨床免疫というコースは、内容が様々で多くの臨床実習と異なる点がいくつかありました。その一つを紹介します。

 

水曜日の夕方は免疫関連の基礎研究のセミナーがありました。

 

「臨床実習なのに基礎研究のセミナー??」

 

と初めは思いました。が、後々、免疫はまだわからないことが多々ある学問なので、最新の研究の知見が臨床においても大切なのかなと思うようになりました。

 

 

ある水曜日の講演者は、アメリカ本土の別の大学の先生ですが、ハーバード大学出身とのことで「母校に帰ってきた」と冒頭に仰っていました。

 

セミナーのテーマはその先生が取り組まれている自然免疫系とオートファジーの関係。

 

約1時間のセミナーの後の感想は・・・「めっちゃ面白い!」

 

丁度近日中に、実習の最終日までに提出するレポートに関して、テーマを決めて実習担当の先生に報告することになっていました。

 

「自己免疫疾患と自然免疫系に関することを調べたい!」

 

先生は、基礎でも臨床でも、免疫に関するテーマであれば何でもよいと仰っていたので、「SLEの病態における自然免疫系の役割」というテーマはどうか先生にお聞きしました。このテーマに加えて他にも2つほど候補を上げ、3つの中から先生の承諾を得てこのテーマについて文献を読みまとめることになりました。

 

「やった!」

 

自分の興味のあるテーマに関する文献検索は好きなので、のめりこみました(笑)

 

以前までは、自然免疫系はただ獲得免疫に信号を送るというような働きをすることしか分かっていませんでしたが、最近いろんなことが発見されています。

 

例えば、Toll-like receptorToll様受容体)。

 

細菌の壁構造(LPS)を感知するTLR-4だけでなく、ウイルスを認識するものも発見されたり、自己免疫疾患においても重要な役割を担っていることが分かってきています。

 

「自然免疫系だと扱う範囲が広すぎるからもう少し絞るように」と言われていたので、SLEの病態におけるTLRの役割について調べることにしました。

 

いくつかレビュー論文を読み、まず現在の知見に関して概要をつかむよう努力~

 

読んでて・・・面白い!

 

1か月前に今自分がこんなことをしてるとは全く想像してませんでした(笑)

 

SLEなどの自己免疫疾患において自然免疫がどのように病態に関わっているのかを知ることで、新しい治療法や予防法の考案に役立たせることができるかも・・・

 

これって、研究を臨床に応用する一つの例?!

 

膠原病内科のフェローの先生も研究をされてたり、既にPhDを取得されてたり、この実習中は、臨床に携わっていても研究をされている方に(というか研究の方が仕事の大半)多く出会いました。

 

「研究マインドを持った医療者」というものがどういうものなのか少し具体的に分かってきた気がします。

 

N

2015年4月27日月曜日

Cardiac Anesthesia Rotation: A summary①

先週をもって、4週間のCardiac anesthesiaが終了しました。


なので、実習内容の報告等を行います。来年以降、HMSに応募し希望診療科15個を提出する人に少しでも参考になればと思います。


大まかな1日のスケジュール
5:30 寮出発
6:15~ MGHオペ室到着、Operation Room (OR)で一緒になる人に挨拶、患者さんに挨拶、自主的に問診や身体診察も可
7:00頃 患者さんOR入室、モニター装着などの手伝い。患者さんの麻酔導入開始
8:00~ オペ開始。

オペが始まるまでの準備は、麻酔科の実習の中で非常に重要で学ぶところが多く、また挿管などの手技も学べる時でもあり、本ローテーションで最も外せない部分でした。
オペが始まり、特に患者さんがバイパスポンプに乗ってしまえば逆にかなり余裕が出てきます。オペに見入るのもよし、食事休憩を取るのもよし。悪く言うとしばらく暇ですが、実習後半になって、この時間こそAttending, Fellow, Residentの先生方に様々な質問をし、また仲良くなるきっかけにもなる大切な時間となりました。
(Attending, Fellow, Residentはそれぞれざっくり日本でいう偉い先生、中堅の先生、後期研修医)

オペ室。レクチャーもあったり


13:00~ 最初のオペ終了、ICUへ見送り。

13:30~ 二件目スタート。再び挿管などのチャンス。
これに入ると帰宅は6時〜8時になります。基本的に2件目も入っていましたが、教科書を読みたいと感じた日やしんどいと感じた日は早めに切り上げることもありました。

木曜日だけは、朝7時からGrand Round というイベント(日本でラウンドというと回診を思い浮かべますが、そうではなくスピーカーをお招きして大部屋でレクチャーをしていただくイベント)があり、オペはその後、件数も一件のみということで、4時には帰れて医科歯科の実習でいうハッピーのような感覚でした。

麻酔科医の麻酔薬中毒についてのGrand Round
Fitzsimons 教授は今まであった人でトップクラスに教え上手な先生でした


実習内容
留学生は私ともう一人、ハーバードの学生はいませんでした。

患者さんとお話しする時間は手術直前しかなく、問診してPatient Note をまとめるなどFOCUSで学んだようなスキルを生かす場面はありませんでした。

以前書いた通り手技に触れる機会は豊富でした。
特に気管内挿管は15回以上行い、毎度詳細なフィードバックを頂き最終週は与えられた3回の機会全てを成功させるまで上達することができました。その他実習後半にIV2回、A-line2回、CV lineは数回scrub inして手伝ったあと1回自らさせてもらいました。手技のみに重点を置いていればもっとできたと思います。

Lectureは週一回ほど突発的に発生し、そこにResidentと一緒に参加していました。質問を投げかけられる形式で、大変勉強になりました。

その他、個人的に経食道エコーTEEに興味を持ち、Resident向けのonline lectureを見させていただいて自習をし、オペ中のTEE評価をそばで聞いて、実際に操作させて頂いたりしました。心臓の解剖学的理解を非常に深めることができました。医科歯科の循環器の実習でさっぱりわからなかったエコー機械の操作方法や、パルスドップラーの概念などもざっくりと理解することができました。

心臓外科麻酔で用いられる麻酔薬は限られており、一般外科麻酔ほど多彩な薬の使用を学ぶには至りませんでした。一方術中の血圧コントロールなどの血行動態は勉強になりました。

週一回、Course DirectorのHeidi先生(Attending)と実習内容について小1時間みっちり話す時間がありました。とっても姉貴肌な先生で、よかったこと・うまくいかなかったこと・わからなかったこと・来週したいこと、何でも聞いてくださりしっかり面倒を見ていただいているという安心感がありました。一般外科麻酔の見学、カテ室の見学などの要望にも対応してくださいました。

最終日には、自分の選んだテーマで20分ほどのプレゼンをHeidiに行いました。自分は、TAVRという新しい医療について発表しました。英語で発表する貴重な機会、言葉は練習した甲斐があってうまくでてきましたが、スライドについていくつかコメントを頂きました。論文のデータをそのままスクリーンショットで貼ってしまったスライドに
"No one is gonna read that slide. It is a COMPLETE WASTE of a slide."
プレゼンのレベルが高いと言われるアメリカでの、プレゼンへのこだわりの強さを実感することができました。

Heidiとお別れの写真



後輩に勧めるか
麻酔科に興味があるなら大いに取るべき。心臓に興味があれば、取る価値あり。手技にこだわるならGeneral Anesthesiaの方が機会が多そうだった。
FOCUSで学んだスキルを生かせなかったのは残念だった。
非常に専門性が高い領域で、内容は難しめ。自分からProactiveに学ばないとすぐ消化不良になる。
症例が非常に豊富。自分は医科歯科の心臓外科でCABGや弁置換は見ていたので、先天性心疾患を好んで見た。(Tetralogy of Fallotなど)
拘束時間は上に見ての通り長い。先生方は疲れたら帰ってもOKとおっしゃったが、こちらははるばる来ているので最後まで居たいものだ。
時間のコスパは悪い。医科歯科の心臓外科でも手術を見る機会があると思うが、それを毎日、しかも1日2回。

先生方と話す時間に非常に恵まれており、アットホームで居心地がよかった。過去の報告書を見ると、ここまでAttendingと距離を縮めることができる診療科は珍しいのかもしれない。

その他
Heidiには、挨拶の大切さを教わった。それは、自分が教わる医者にだけでなく、看護師さんや技師さん、全員へだ。最初は心細くて、相手が興味なさそうな時もあってしんどい思いをしていたが、だんだんと名前を覚えてもらったことで2週目あたりからたくさん手伝いを頼んでもらえるようになり、Get involvedするきっかけとなった。
患者さんにも必ず、毎朝「Hi my name is Tom, I'm a Medical Student today, and I will be observing and taking care of you」と自己紹介した。
こっちの人はマスクも嫌う。街中はもちろん、病院内でもORを出るとすぐマスクを外した。これも、病院内で皆んなとコミュニケーションをとる上で重要なことだと感じた。


また、心臓外科麻酔は日本人の先生が多かった。教授一人、Attending一人、Fellow一人。心臓外科にもFellowの先生が一人いた。皆さん非常に親身にして下さって、特にFellowの長坂先生にはこれ以上ないほどのメンターになっていただいた。

②に続く
トム

2015年4月23日木曜日

Boston Marathon


こんにちは、りょんです。ボストンに来てそろそろひと月が経とうとしています。
 
予想外だったことの一つには間違いなく、お天気の気まぐれさが挙がります。宗谷岬(北緯45度)より少し南の北緯42度、寒さは覚悟してきましたが盲点でしが。
先週春めいて皆が一斉にTシャツ短パンで闊歩していたボストンですが、週末は一転して氷雨の降る冬の日になりました。ボストン7年目の先生いわくYou shouldn't care the weather here, it does whatever it likes, so you do what you want.  お天気なんか気にしてちゃダメよ、だそうです笑
 
そんなボストンなので今週月曜日、気温4℃をものともせずにBoston Marathonが開催されました!
もともとは独立戦争に関したMassachusetts州の休日で、今年で119回目の開催となるフルマラソンに町中がわくわくしていました。
Museum of ScienceのTrexもアピールしていました
 
町中で見かけた黄色と青のマークがこちら。2013年の爆発事件から2回目の開催となる今年も”Boston Strong"がいたるところに掲げられていました。


 
 
これが窓際にずらっとならんでいたり。
 
 
マラソンコースが近いためLongwood Medical Area内の病院もお休みになります。(なので爆発事件の時は東に離れたMassachusetts General Hospitalに一番多く負傷者が搬送されたのだとか)
お休みがいただけたメンバーで、寮から近い40km地点に応援に行きました。



セキュリティを越えて沿道へ。
ボストンマラソンは車いす男子、車いす女子、男子、女子の4部あり、Boston Qualifyingと呼ばれる基準タイムを過去一年に超えた選手だけが原則エントリーできます。ゼッケンの順番、スタート群の順番も提出した記録順に決められるので、同じペースの人と混雑せずに走れるのがいいそうです。
 
少し早目に行ったので、車いすから応援できました。
車いすマラソンと聞くとこの形↓を思い浮かべる方が多いと思うのですが、
走ってくる人をよく見ていると、
手漕ぎ!!
他にもいろいろあるようです。鍛え方だけでなく、マシン選びも鍵でしょうか。

軍服の人も走っていたり。かなりしんどそうな顔をしていたので、訓練なのでしょうか。
トップ集団でも後続でも、選手が来るたびに大盛り上がりでした。

正午ごろに、女子の先頭、つづいて男子の先頭がやってきました。
男子の先頭。最後まで逃げきって、一位でした!
遠くに歓声が聞こえ始めてから駆け抜けるまでが一瞬で、応援の大歓声と熱気で寒さを忘れるような興奮に包まれていました。初めてマラソンの応援に行ったのですが、自分の前をトップ選手が駆け抜けるのは一瞬でもそれを待つ間、後続の人への応援、いろいろな楽しみ方がありました:)



ボストンの病院の多さを反映したような特徴もありました。
まず、車いすの部で、家族や友人の車椅子を押して走っている方がいらしたこと。Team Hoytをご存知でしょうか?
私は中学の英語の教科書で知りました。
脳性麻痺のある息子Rickの車いすを父親のDickが押して、有名無名問わず数々のマラソンを完走してきた2人です。そんなTeam HoytですがDickが高齢になり、マラソンを続けるのは難しいといわれていました。しかし、彼らの初めての挑戦だったボストンマラソンは続けたいという思いから今年はDickに代わってチームメンバーがRickを押し、今年も無事に走りきったそうです。防寒雨除けで顔が見えなかったので本当に彼らだったのか少し不安ですが、おそらく彼らが走ってきたとき、応援の歓声がひときわ大きかったように思います。
 
また、ボランティアに4500人以上の応募があり、Massachusetts General Hospitalから40名が医療ボランティアランナーとして、また小児癌の支援のためにユニフォームに患者さんの名前を書いて一緒に走るチームも参加したそうです。赤十字とアメリカ心臓病学会が協力して、心停止患者蘇生方法のHands only CPRのやり方を動画で配信するなど、応援は市内にとどまらず広がっていたとか。
 
 
これら一つ一つから、このマラソンを盛り上げ、これからも良い思い出を積み重ねていこうという意思が感じられました。伝統のイベントである以上に、自分たちがよりよくしていくものという強い思い入れがあるのではないでしょうか。
実習中にも通じる事ですが、アメリカでの沈黙や不変は、同意であり満足です。不満があるならアピールしたり変えたり好きにしていいけれど、その代わり気を回してくれる事もほとんどありません。手の中にあるものをよりよくする権利も責任も、持ち主にあります。
今回はボストンの人々の、自分たちのマラソンは2013年のテロを越えていかなければいけないという強烈な意志が印象的でした。





ここから先はマラソン関係ないですが、うれしかったので書きます。
日本から救援物資が来ました!郵便局からEMSで3日、綺麗な状態で届いていました。よかった!
日本食にこだわりがあるわけではないのですが、先日、日本のクッキーとこちらのスーパーで買ったクッキーを味だけで判断できて、自分でも驚きました笑 日本のお菓子最高です!