2015年4月27日月曜日

Cardiac Anesthesia Rotation: A summary①

先週をもって、4週間のCardiac anesthesiaが終了しました。


なので、実習内容の報告等を行います。来年以降、HMSに応募し希望診療科15個を提出する人に少しでも参考になればと思います。


大まかな1日のスケジュール
5:30 寮出発
6:15~ MGHオペ室到着、Operation Room (OR)で一緒になる人に挨拶、患者さんに挨拶、自主的に問診や身体診察も可
7:00頃 患者さんOR入室、モニター装着などの手伝い。患者さんの麻酔導入開始
8:00~ オペ開始。

オペが始まるまでの準備は、麻酔科の実習の中で非常に重要で学ぶところが多く、また挿管などの手技も学べる時でもあり、本ローテーションで最も外せない部分でした。
オペが始まり、特に患者さんがバイパスポンプに乗ってしまえば逆にかなり余裕が出てきます。オペに見入るのもよし、食事休憩を取るのもよし。悪く言うとしばらく暇ですが、実習後半になって、この時間こそAttending, Fellow, Residentの先生方に様々な質問をし、また仲良くなるきっかけにもなる大切な時間となりました。
(Attending, Fellow, Residentはそれぞれざっくり日本でいう偉い先生、中堅の先生、後期研修医)

オペ室。レクチャーもあったり


13:00~ 最初のオペ終了、ICUへ見送り。

13:30~ 二件目スタート。再び挿管などのチャンス。
これに入ると帰宅は6時〜8時になります。基本的に2件目も入っていましたが、教科書を読みたいと感じた日やしんどいと感じた日は早めに切り上げることもありました。

木曜日だけは、朝7時からGrand Round というイベント(日本でラウンドというと回診を思い浮かべますが、そうではなくスピーカーをお招きして大部屋でレクチャーをしていただくイベント)があり、オペはその後、件数も一件のみということで、4時には帰れて医科歯科の実習でいうハッピーのような感覚でした。

麻酔科医の麻酔薬中毒についてのGrand Round
Fitzsimons 教授は今まであった人でトップクラスに教え上手な先生でした


実習内容
留学生は私ともう一人、ハーバードの学生はいませんでした。

患者さんとお話しする時間は手術直前しかなく、問診してPatient Note をまとめるなどFOCUSで学んだようなスキルを生かす場面はありませんでした。

以前書いた通り手技に触れる機会は豊富でした。
特に気管内挿管は15回以上行い、毎度詳細なフィードバックを頂き最終週は与えられた3回の機会全てを成功させるまで上達することができました。その他実習後半にIV2回、A-line2回、CV lineは数回scrub inして手伝ったあと1回自らさせてもらいました。手技のみに重点を置いていればもっとできたと思います。

Lectureは週一回ほど突発的に発生し、そこにResidentと一緒に参加していました。質問を投げかけられる形式で、大変勉強になりました。

その他、個人的に経食道エコーTEEに興味を持ち、Resident向けのonline lectureを見させていただいて自習をし、オペ中のTEE評価をそばで聞いて、実際に操作させて頂いたりしました。心臓の解剖学的理解を非常に深めることができました。医科歯科の循環器の実習でさっぱりわからなかったエコー機械の操作方法や、パルスドップラーの概念などもざっくりと理解することができました。

心臓外科麻酔で用いられる麻酔薬は限られており、一般外科麻酔ほど多彩な薬の使用を学ぶには至りませんでした。一方術中の血圧コントロールなどの血行動態は勉強になりました。

週一回、Course DirectorのHeidi先生(Attending)と実習内容について小1時間みっちり話す時間がありました。とっても姉貴肌な先生で、よかったこと・うまくいかなかったこと・わからなかったこと・来週したいこと、何でも聞いてくださりしっかり面倒を見ていただいているという安心感がありました。一般外科麻酔の見学、カテ室の見学などの要望にも対応してくださいました。

最終日には、自分の選んだテーマで20分ほどのプレゼンをHeidiに行いました。自分は、TAVRという新しい医療について発表しました。英語で発表する貴重な機会、言葉は練習した甲斐があってうまくでてきましたが、スライドについていくつかコメントを頂きました。論文のデータをそのままスクリーンショットで貼ってしまったスライドに
"No one is gonna read that slide. It is a COMPLETE WASTE of a slide."
プレゼンのレベルが高いと言われるアメリカでの、プレゼンへのこだわりの強さを実感することができました。

Heidiとお別れの写真



後輩に勧めるか
麻酔科に興味があるなら大いに取るべき。心臓に興味があれば、取る価値あり。手技にこだわるならGeneral Anesthesiaの方が機会が多そうだった。
FOCUSで学んだスキルを生かせなかったのは残念だった。
非常に専門性が高い領域で、内容は難しめ。自分からProactiveに学ばないとすぐ消化不良になる。
症例が非常に豊富。自分は医科歯科の心臓外科でCABGや弁置換は見ていたので、先天性心疾患を好んで見た。(Tetralogy of Fallotなど)
拘束時間は上に見ての通り長い。先生方は疲れたら帰ってもOKとおっしゃったが、こちらははるばる来ているので最後まで居たいものだ。
時間のコスパは悪い。医科歯科の心臓外科でも手術を見る機会があると思うが、それを毎日、しかも1日2回。

先生方と話す時間に非常に恵まれており、アットホームで居心地がよかった。過去の報告書を見ると、ここまでAttendingと距離を縮めることができる診療科は珍しいのかもしれない。

その他
Heidiには、挨拶の大切さを教わった。それは、自分が教わる医者にだけでなく、看護師さんや技師さん、全員へだ。最初は心細くて、相手が興味なさそうな時もあってしんどい思いをしていたが、だんだんと名前を覚えてもらったことで2週目あたりからたくさん手伝いを頼んでもらえるようになり、Get involvedするきっかけとなった。
患者さんにも必ず、毎朝「Hi my name is Tom, I'm a Medical Student today, and I will be observing and taking care of you」と自己紹介した。
こっちの人はマスクも嫌う。街中はもちろん、病院内でもORを出るとすぐマスクを外した。これも、病院内で皆んなとコミュニケーションをとる上で重要なことだと感じた。


また、心臓外科麻酔は日本人の先生が多かった。教授一人、Attending一人、Fellow一人。心臓外科にもFellowの先生が一人いた。皆さん非常に親身にして下さって、特にFellowの長坂先生にはこれ以上ないほどのメンターになっていただいた。

②に続く
トム

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