2015年4月30日木曜日

80:20


 
 

水曜日の午前中はボストン小児病院で、小児膠原病内科の先生の外来を見学させていただきました。

 

小児膠原病内科医は全米でも数が少なく、ボストンより北の地域には一人もいないらしく、遠いところからはるばるやってくる患者さんもいらっしゃるそうです。

 

物理的に遠いことも一つの理由か、受診予約をしていても、キャンセルしたり時間になっても現れない患者さんも結構いらっしゃるとのこと。

 

この日も1人キャンセルでした。次の患者さんを待っている間に、先生が今まで歩んできた経歴に関して興味深いお話をして下さいました。

 

先生は免疫に関する研究を長年されていて、医者の専門を決める際も、「この研究をしたいから」この科を選ばれたそうです。

 

先生は、Residencyが終わった後のFellowship(専門医研修)でも研究をされ、その後のポスドクでも研究をされたとのこと。アメリカではFellowshipで研究をしっかりやるプログラムが結構あるそうで、その理由は、専門医としてその領域の学問を更に発展させることが重要であると認識されているからです。

 

今の先生の仕事は、研究が80%、臨床が20%という割合になっていて、それでも競争が激しい研究の世界で結果を残すには大変とのこと。そういえば、実習で回った他のクリニックでも、80-20の割合で研究されている先生がいらっしゃいました。

 

アメリカで研究する場合は、"Grant"(助成金)を自分で確保しなければならず、そこから研究室を運営する費用、自分の給料、雇った人たちの給料などすべてを払わなければなりません。自分のホームステイ先に一人研究者の方がいらっしゃいますが、その人曰く、ある程度実績を残した人でも、Grantが得られなければ研究することはできないとのこと・・。単に頭のキレだけでなく、絶え間ない競争に耐えうるだけの精神的なタフさが必要であると感じました。

 

アメリカに来て、日本ではあまり聞かない医師の進路について学べたことはとても貴重でした。特に、自分の専門の領域の学問を研究によって発展させていく、よりよくしていくという姿勢は自分も身につけたいと思います。

 

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